長期優良住宅による家づくりの流れ
長期優良住宅の場合、事前の申請で通常より1か月程度余分に時間を要します。しかし、工事期間、建築費用については当事務所の場合通常の建物とほとんど(設備配管で通常の工法とは違うものを採用しています)変わりはありません。
長期優良住宅に必要な条件である省エネ性能、劣化対策、維持管理対策、耐震性は、どれも最低限必要な性能で当事務所の標準的な仕様となっております。
1.地盤調査
スウェーデン式サウンディングにて地盤調査をしました。地盤保障をするため、しっかりとしたデータが必要です。
建て替える建物の四隅と中央を調査しました。
2.擁壁工事
敷地の西側は古いコンクリートブロックの擁壁でした。
高さは2m以下なので建築の確認申請の必要はありませ
んが、長く安心して住んでいただけるようきちんとした擁壁を造り直すことにしました。
地盤データをもとに構造計算し、丈夫な鉄筋コンクリートの擁壁を造りました。
3.地鎮祭
地鎮祭を執り行いました。天気も良く、暖かい日でした。
本体工事にかかります。期待度UPです。
4.柱状改良
地盤は全体としては関東ローム層で良かったのですが、古い井戸の周辺を中心に一部弱い部分がありました。
地盤保障するうえで弱い部分を残すことが出来ないため、柱状改良杭を打ちました。
5.基礎工事
基礎も構造計算により安全を確かめています。立ち上り部分の上端にはフック(折り曲げています)を付けます。また地中梁も建物外周だけではなく必要な部分に設け、丈夫な基礎をつくります。
SE構法なので柱の脚元は丈夫なボルトが2本出ています。地震時の強い引き抜きに耐えることが出来ます。
6.設備配管工事
基礎工事と同時進行で給排水設備の配管をします。基礎貫通部には予めパイプを通しておきます。ここに排水管を通すことでメンテナンス時に基礎を壊す必要がありません。給排水は共にヘッダー式のため、やはりメンテナンス性が良くなっています。
長期優良住宅の仕様にひとつにメンテナンス性(維持管理)があります。設備配管の耐朽性、維持管理のし易さは大変重要です。
7.上棟
SE構法の上棟はスピーディーでかつ力強いのが特徴です。上棟した段階で、すでにガッチリ強い木組みが出来てしまっているという実感があります。
8.屋根下地
屋根下地工事にかかります。同時に屋根の断熱工事もします。
通気層をしっかり取ることで夏涼しく、又湿気を逃がすことが出来るので、耐久性が向上します。
9.外張り断熱
長期優良住宅の仕様のひとつに断熱があります。断熱材を隙間無く張っていくことで断熱性と気密性が向上します。地味ですが重要な作業です。
断熱材を張った後に保険的な意味で防湿シ-トも張ります。雨が浸入した際に威力を発揮し、気密性もかなり向上します。
10.内装下地工事
内装工事に進みました。今回壁と天井にはクロス(壁紙)を貼るので、石膏ボ-ドを下地にします。斜線制限と耐震性・経済性を考慮し、階高を低く抑えています。現しの梁が規則的に並んでいます。
窓の額縁も付き始めました。外張り断熱の場合、壁厚が20cm以上になります。額縁を小さくしないと鬱陶しく感じることがあります。今回は縦枠と上枠を小さくしました。無垢板ならではの細かい寸法指定ができました。
11.内装仕上げ工事
内装仕上げに入りました。
長期優良住宅の補助金を受ける関係で壁紙を貼りながら階段の設置をしたり、家具を付けたりと現場は混雑しています。
階段にはデザインと転落防止の縦格子がつきます。大工さんの腕の見せ所です。
小さな模型も造り、段取りの確認をしました。
12.検査・引渡し
検査をして引渡しとなります。設計者と施工者でしっかりと仕上げ具合、設備等の不調はないかなどじっくり見ます。もっとも、工事中にも確認していますので主に出てくる是正項目は養生をはがした後のちょっとしたキズなどがほとんどです。引渡しまでの数日で補修します。
引渡しの際には『思ったより良くできている。ありがとうございました。』とお褒めの言葉をいただき、ほっといたしました。
完成写真はこちらから。