耐震補強工事の流れ
耐震補強にはいろいろな方法があり、予算に合せて提案します。これは、耐震診断をして必要な強度を確保できるよう耐震補強設計をした例です。
2階建て床面積100㎡、工事費およそ200万円です。要望は「1階和室は改修後も和室の体裁を保つこと。予算内に納まる提案をして欲しい。」というものでした。
1階は和室が2室、2階は和室が1室と洋室が2室。和室が多く、予算を抑えるために(和室は造作が多く、仕上げ工事にも費用が掛かります)新たな耐震要素(筋かいや耐震壁)は基本的に押入れの壁を補強することで確保しました。
また、バランス上どうしても強度を確保したい部分1,2階それぞれ1箇所づつ、障子や襖で仕切っていた部分を耐震壁とし、柱を追加し残りの幅80cmを出入口(1階は障子、2階はドア)としました。
建物の裏手は安価に出来る方法として、鉄筋ブレース(鉄筋を斜めに設置した補強方法)を採用。総計30箇所を超える壁を補強したり、追加しました。
主な部位を写真で紹介いたします。
1階和室
写真の赤い部分を耐震壁にしました。
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柱と長押(緑→)、耐震壁を新設(赤→)。幅80cmの障子を造り直しました。
京壁は同じ色の物がありませんでしたが、ひと目では見分けのつかないくらい近い色を探して塗りました。
建物の端なので有効な耐震壁となりました。
2階中央収納
配収納部分は基本的に3方が壁なので、ここを耐震壁にすることは非常に有効です。
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押入れ壁を解体し、耐震用の強化ボードを所定の方法で設置しました。
その後、棚板や扉を新たに付けて完了です。
2階中央壁
2つの部屋を仕切っていた襖と上部壁、天井の一部を撤去。
緑の部分に耐震壁を新設し、赤い部分は幅80cmと扉としました。
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壁は壁紙で仕上げました。
2階和室
室内の壁と付鴨居を撤去し、新たに耐震用の強化ボードを所定の方法で設置しました。
その後、付鴨居を再度付け直してから京壁を塗りました。
外部
外部は外壁をやり直すことでかなりのコストがかかります。よって、土台、柱、梁の位置を確認し、外から鋼製ブレースを設置しました。比較的安価に出来ます。
内部も同様に補強した例もありますが、この御宅では採用しませんでした。壁に入った割れも補修し、再塗装しています。
廊下
廊下の壁を撤去し、新たに耐震用の強化ボードを所定の方法で設置しました。
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仕上げは洋室と同じ壁紙です。結果、明るくなりました。